
院長 医学博士 古川一雄
◎和漢診療(漢方診療)とは
漢方医学は中国医学に源を発し、6世紀中頃に朝鮮半島を経由して我が国にもたらされた医学体系です。
それ以後千年以上に亘って、我が国の医療を担って来ました。特に江戸中期には、我が国の国情にあった医学体系へと変革を遂げました。
ところが、明治時代を迎え、我が国は近代国家へと発展を開始しましたが、その際、漢方医学は時代にそぐわない、前近代的な、不合理な医学とされ、公的な医学教育の場から排除された歴史があります。
しかし、明治以降一徹な漢方人によって受け継がれた漢方医学は、国民の根強い支持によって、復活することになったのです。
高齢化社会を迎えて、人間を機械の部品の寄せ集めのように考える西洋医学では解決できない病態や、不具合が浮かび上がって来たのです。漢方医学に対する国民の期待に応えるものとして、1976年に漢方製剤が医療保険で使用可能となりました。
日本(和)、中国(漢)で見出された天然薬物を生薬と言います。この生薬には、植物性を始めとして、動物性、鉱物性があり、合わせて約300種程の種類があります。この生薬を基に、先人らの長い経験によって形作られたのが漢方薬です。この漢方薬を用いて、経験によって体系づけられた一定の知識・理論に基づく診療システムが、和漢診療(漢方診療)です。
◎漢方による診断と治療
漢方治療では、診断のことを「証」と呼んでいます。また、症状がはっきり出る人は「実証」と言い、風邪をひいたら熱などが出るタイプで、体力があり、体が病気に対してきちんと反応します。症状が出にくい人は「虚証」と言い、熱などもそう高くならないけれど、いつの間にか症状が進んでいる人で、体力がなく体が病気と闘えない位弱く、病気に対する反応も鈍くなります。
「なんとなく調子が悪いが、どこで診て貰ったらいいか分からない」などという場合に向くのが漢方治療です。漢方治療では、その症状を緩和するだけでなく、全身の状態を良くすることで、病気を治して行くのです。東洋医学では、いわゆる不定愁訴のように、明らかに病気とは言えないものの、不調な状態を「未病」と呼んでいます。この未病の時期にきちんと診断して、体質改善を図る方が早く治り、治療費もかかりません。病気が明らかになる前の未病段階での治療へ、シフトして行けたらなと考えております。
◎主な対象疾患
漢方医学は全身の苦痛を改善し、生活状態をより良くしていくものですので、どのような病気も治療対象となりますが、特に以下のような病気に効果があります。
@ 西洋医学では有効な治療法がないもの
冷え性、虚弱体質、夏負け、低血圧、肩こり、月経障害など
A 再発を繰り返す病気
気管支喘息等のアレルギー性疾患、メニエール病、偏頭痛、風邪に罹り易いなど
B 検査値は正常だが自覚症状が取れないもの
更年期障害、自律神経失調症、血の道症など
C 体力低下が強いもの
手術後、出産後、慢性疲労症候群など
D 慢性関節リウマチなどの自己免疫性疾患
E 生活習慣病
慢性の肝疾患、腎疾患、糖尿病、高脂血症など
F 整形外科的疾患
変形性膝関節症、腰痛症、五十肩など
G 脳血管疾患後遺症などの内科的疾患
H アトピー性皮膚炎や湿疹などの皮膚科的疾患
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